理容室と美容室がありますが、この2つの違いを知っていますか?
色々と違いはあるのですが、その中でも気になるのは、カット(切り方)、つまりヘアスタイルにどんな違いがあるのか?ってことだと思います。
そこで今回は、理容室と美容室どちらとも多く出入りし取引をしていた経験のある筆者が、カット(切り方)の違いや、おしゃれを目指すアラフォー男子はどちらに行くべきか、などをお伝えしていきます。
理容室と美容室の違い?
今まであまり考えたことなかったなー。
くろすけは理容室でも美容室でもなく、トリミングサロンだからね。
理容室と美容室の切り方の違い
理容室と美容室の切り方・カットの仕方の違いは、四角く切るか、丸く切るかの違いがあります。
理容室の理容師さんは四角く切る、キッチリとしっかり切る
美容室の美容師さんは丸く切る、ふわっとやわらかく切る
筆者のわたしが理容室が四角く切ることを知ったときは、けっこうな衝撃がありました。
初めて、カットの違いを知ったのは、美容室を中心に、理容室やエステサロンなどに美容商材を卸す美容ディーラーを始めて間もないころでした。
その頃はまだまだ勉強不足だったので、学びのために、営業先ではない美容室に自分の職業は隠してお客さんとしてカットしに行っていました。
その勉強中に、理容室も気になり、カットしに行ったのですが、その時に髪を切ってもらってる途中の頭の形が四角くなっていることに気付き、理容室と美容室のカットの仕方の違いに気付いたのです。
理容室に行ったのはその時が初めてではないのですが、大学からはずっと美容室に行っていて理容室は高校生以来に利用したことと、理美容に関わる仕事を始めて今まで気にしていなかったことが目に付くようになったことが、気付いた理由です。
理容師さんは、男らしい整ったスタイルを作るので、四角く切ります。
容姿を整えることを目的とした施術で、長さや面を正確に切り揃え、毛先や襟足もきっちり仕上げます。
理容師免許の国家試験内容であり、日々使用しているので、バリカン技術に長けていて、バリカンを使用したスタイル、刈り上げが得意な傾向です。
キッチリと整ったスタイルが好みなら理容室がおすすめです。
一方の美容師さんは、女性らしい柔らかくてかわいいスタイルを作るので、丸く(丸みのあるひし形)切ります。
容姿を美しくすることを目的とした施術で、あえてキッチリせずにムラやばらつきを作り、全体的な美しさを追求します。
四角さやきっちりしたスタイルは好まず、ラフな感じが好みの人は美容室がおすすめです。
なるほど、切り方の違いは四角か丸かの違いがあるんだね。
ただ、今では理容室と美容室の差は昔ほど無くなってきているんだ。
おしゃれメンズはどちらを選ぶべき?
以前は理容室は男性が行くところ、美容室は女性が行くところというのが一般的でした。
そして、理容室はダサい、美容室はイケてるなんてイメージも何となくありましたが、そのイメージが変化しています。
理容室でも今風のおしゃれなヘアスタイルはできるし、美容室でもメンズがカットに行くというには、常識化しています。
それは、理容室と美容室とで行うカットやスタイルの違いが曖昧になってきているからと思われます。
もちろん、理容室と美容室とで得意とするスタイルやサービスは異なります。
理容室は、顔そり・シェービングをすることができるし、ヘアスタイルはカットやバリカンなどでする刈り上げや剃り込みなどを活かしたショートカットやベリーショートが得意です。
具体的には、ソフトモヒカン、スポーツ刈り、角刈り、坊主、アイパーなどです。
美容室は、ふわっと軽くしたナチュラルな感じやルーズな感じ、無造作感・束感のあるスタイル、ゆるいパーマをかけたスタイルなど、ミディアムからショートの少し髪が長めのスタイルが得意です。
具体的には、マッシュ、ウルフ、ツーブロック、パーマスタイルなどです。
どのヘアスタイルが得意なのかは、理容師さん美容師さん個人個人で違って変わりますので、あくまで一般的な話になりますが。
繰り返しますが、現在では理容室はダサい、美容室はイケてるなんてイメージは払拭されていて、おしゃれな理容室や硬派な理容室が増えており、女性も多く通う人気の理容室も多数存在します。
結局は、あなたのなりたい髪型や好みに合わせて、理容室にするのか美容室にするのかを決めるのがベストです。
アラフォー世代で美容室に通っているメンズも多数いますし、わたしも美容室をメインにカットしています。
また、その時の気分や顔そりをして欲しいなどによって、理容室と美容室を使い分ける人も増えています。
お気に入りの理容師さんや美容師さんを見つけるのもオススメです!
たしかにおしゃれでカッコいい理容室は増えているよね!
一昔前にあった、理容室はおじさんが通うところ、というイメージは無くなってきているんだ。
美容室でのメンズのカットは違法だった
理容室は男性・メンズ、美容室は女性・レディースというのは、実は厚生労働省からの通知によるものでした。
1978年に、美容師が男性客にパーマやカラーなどをせずに散髪だけをすることを禁止とする通知が厚生労働省より出されたのです。
つまり、美容師は女性客にはパーマやカラーをしないカットだけの施術はいいけど、男性客にはパーマやカラーをしないカットだけの施術はダメ、パーマやカラーと一緒だったらカットもしてもいい、という通知です。
また、理容室での女性へのパーマも禁止でした。
現代ではとても考えられない通知なのですが、意外と最近まで見直しをされなかったのです。
見直しをされたのは、2015年7月17日。
さすがに時代に合わないということで、当時の安部首相が規制改革会議で見直しをし、美容師が男女ともにカットしても問題無いとされました。
理容室での女性のパーマもこの時からOKとなりました。
見直されたのが2015年の7月というけっこう最近で、それまでは美容室での男性へのカットのみはNGというのは、ほんとに驚きです!
美容室でメンズのカットのみが禁止されていたなんてビックリ!
わたしもはじめて知ったときは驚いたよ!
法律で決まっていて、それも改正されたのがそんなに昔じゃないからね。
ここまでで、理容室と美容室の切り方の違いや背景などはわかったけど、そもそも理容室と美容室の違いって何?
それはとてもいい質問だね!
そもそも、理容室と美容室って法律が異なり別物なのです。
そもそもの理容室と美容室の違い
理容室と美容室は名前はそっくりなのですが、それぞれ「理容師法」と「美容師法」という違う法律によりサービス・業務範囲が決められていて、その法律内のことしかやってはいけないのです。
つまり、理容室でサービスを提供する理容師は理容師法に定められていることしかできなし、美容室でサービスを提供する美容師は美容師法に定められていることしかできません。
また、理容師としてサービスを提供するには理容師免許という国家資格が、美容師としてサービスを提供するには美容師免許という国家資格が必要で、免許がないのにカットやカラー・パーマなどの施術を不特定多数にするのは有料・無料を問わず違法、罰金などの罰則の対象となる恐れがあります。
20年ほど前、カリスマ美容師ブームの時に某有名美容室の美容師が無免許だったとかなり話題になったのは、わたしと同じ年代(40代前後)であれば知っている人も少なくないはずです。
理容室と美容室の違いの顔そり・シェービングですが、これは理容師法と美容師法の法律で決まっていて、顔そりは理容師にしか認められていないからなのです。
そもそも、理容師免許・美容師免許を所得するための専門学校(通学・通信)からして、理容と美容は違います。
理容専門学校では、主に男性向けの刈り上げを中心としたカット方法や、小さなロッドによるパーマのやり方などの実習に取り組みます。
また、顔そり・シェービングなどもあります。
美容専門学校では、女性向けのミドルからロングレングスのカット方法、ゆるいウェーブをかけたパーマなどの実習があります。
また、メイクやネイル、着付けなどもあります。
ちなみに、理容師免許と美容師免許のどちらも所得することができます(ダブルライセンス)。
2018年4月からの理容師法と美容師法の改正により、現在では、理容師もしくは美容師のどちらかの免許を所得するには、通学は2年、通信は3年必要ですが、どちらかを所得すればもう一方の免許所得には通学は1年、通信は1年半と短縮されます。
つまりダブルライセンスを所得するには、今までは通学の場合は2年+2年=4年必要だったのが、2年+1年=3年で所得できるようになり、1年も短縮できるのです。
ちょっと話がズレてしまいましたが、以下に理容室・理容師と美容室・美容師の違いをまとめてご紹介します。
- 理容の定義:頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること(理容師法第一条の二)
- 免許:理容師免許
- 客層:男性メイン
- シャンプー台:うつ伏せ
- 顔そり・シェービングができる(美容師はできない)
- 予約必要なし(店舗による)
- 美容の定義:パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること(美容師法第二条)
- 免許:美容師免許
- 客層:女性メイン
- シャンプー台:仰向け
- まつ毛エクステ・パーマができる(理容師はできない)
- 予約必要(店舗による)
理容室と美容室の違いって、そもそもの法律や定義の違いがあるんだね。
顔そりがあるか、ないかくらいかと思ってた…。
今は店舗作りの差がなくなってきているし、理容と美容のダブルライセンスを持っている人も増えているから、ほんと昔ほど差は無いんですよね。
理容室と美容室の見分け方
理容室も美容室もおしゃれなお店ばかりで、垣根も無くなっているので、店舗の外観を見ただけでは、理容室なのか美容室なのかの見分けが付かなくなってきています。
また店名もおしゃれなものが増えているので、昔のように、理容室・床屋・美容室などの名称が付かないお店が多いです。
理容室・美容室関係なく、ヘアーサロンやヘアーデザインなどが名称に入っていることも多いので、余計に見分けが付きません。
でも、一発で簡単に見分ける方法があります。
それは…
ということです。
サインポールとは、赤・青・白のラインがクルクル回っている看板のようなものです。
サインポールは理容室のシンボルと言えるので、サインポールがあれば理容室です。
最近はサインポールもおしゃれになってきていて、色が白と、水色・青・黒などいずれかとの2色というものだったり、小型化しているので、以前のようにパッとすぐに名に入らないものも増えています。
またサインポールの設置義務がなく、置かないお店もちょこちょこ増えていることから、サインポールが無ければ美容室とは言い切れなくなっています。
ただ、サインポールがあれば理容室、というのは間違いないので、サインポールの有無が理容室と美容室の一番の見分け方であることは間違いないです。
サインポールとは
別名、有平糖と見た目が似ていることから有平棒(あるへいぼう)や、バーバーポール(バーバーは英語で理容室や理容師の意味)とも呼ばれます。
有平糖(ありへいとう、あるへいとう)とは、茶道の菓子とされることもある砂糖でできた硬い飴
ねじれている見た目がサインポールに似ている
理容室のシンボルであるサインポールは、元々は12世紀中世ヨーロッパの理容外科医が使用していました。
ケガや傷・骨折・手術・抜歯などの治療を行い、更には理容室の業務まで行うのが理容外科医です。
この当時は、体の悪い部分に悪い血が集まると考えられていたため、瀉血(しゃけつ)という、体の悪い部分の血を抜き取り体外に排出させるという、今では考えられない治療法が流行っていました。
瀉血の際には、患者が棒を握るのですが、その棒は赤く塗られていました。
また、瀉血治療が終わると包帯を使用していましたが、当時は包帯がとても貴重であったため、洗濯して再利用されていたそうです。
その洗濯した包帯は、同じように洗浄した赤い棒と一緒に軒先に干していたそうです。
たまたまの風で、干していた赤い棒に白い包帯が巻きつき、赤と白のらせん状になったのが、サインポールの原形と言われているそうです。
その後、理容外科医は医学の進歩についていけなくなっていき、正式な医学教育を受けた医師から軽視されるようになりました。
次第に、理容外科医の外科手術に制限が加えられ、理容外科医と医師との長期間にわたる闘争に発展し、1700年代のイギリスにて理容師と外科医の仕事を別れさせる法令が出されたそうです。
この時に、理容室と外科を区別するために、理容室は赤・青・白、外科は赤・白の看板(サインポール)を置くことを決められたというのが、あのサインポールが理容室のシンボルになったと言われる説です。
ちなみに、サインポールの三色ですが、「赤は動脈、青は静脈、白は包帯」という説があるのですが、それはどうやら違うという話です。
サインポールが最初に作られたのは12世紀だそうですが、血管に動脈と静脈の2種類があるとわかったのが17世紀とのことで、歴史的に考えにくいそうです。
フランスの国旗もしくはアメリカの国旗(星条旗)の青から加えられたという説の方が有力だそうです。
サインポールについてあまり考えたことがなかったけど、あのスタイルになるのには深い理由があったんだね。
まとめ
今回は、理容室と美容室の切り方・カットの違いについて、お伝えしました。
理容室の理容師さんは、四角くきっちりと切り、しっかりとしたハードなショートスタイルを作るのが得意な傾向です。
美容室の美容師さんは、丸くふんわりと切り、やわらかいラフなミディアムスタイルを作るのが得意な傾向です。
今や理容室と美容室の垣根はほとんどないので、どちらがおしゃれなどということもありませんので、求めるスタイルやお店の雰囲気、居心地など、好みに合わせて利用してください。
お気に入りの理容師または美容師を見付けるのもおすすめです。
また、理容室と美容室を、なりたいスタイルや顔そりをして欲しいなどで使い分ける人も増えています。
理容室だけ、美容室だけと、どちらか一方だけと決めることもないですので、理容室と美容室のどちらも選択肢に含めて、あなたに合ったお店を探してみてください!
わたしもここ最近は美容室ばかりだったから、次は理容室も利用してみようかな!?
定番のオヤジギャグで締めちゃったね…。